カゼ予防&ひき始めは漢方×アロマで対策
日経ウーマンオンライン(日経ヘルス) 1月13日(金)10時39分配信
かぜをひいたからといって、抗生物質を飲んでいませんか?西洋医学ではかぜの原因はウイルスと定義されています。ウイルスに抗生物質は効きません。(要するにかぜに抗生物質は効かないのです)抗生物質は菌を殺す薬ですから、二次感染予防のために処方されている薬なのです。さらに、胃腸障害や皮膚炎などの副作用も多くみられます。そういった必要のない薬はできるだけ服用したくないですよね。そしてできるだけ自然のチカラを借りて、からだに優しい方法でケアしたいものです。特にかぜは予防が肝心です。
【詳細画像または表】
とは言え、ひいてしまったものはショウガナイ。とあきらめてはなりません。ひいたかなと思った30分が勝負です。すぐに対処(漢方・アロマ・マッサージ・薬膳など)することで、風邪をひかない、もしくはひいても治りがはやいのです。
かぜは中医学でいうと肺の病気になります。肺の気が足りない肺気虚の場合はかぜをひきやすくなります。風の邪とかいて風邪(ふうじゃ)という邪気が体内に侵入したときに症状が出てきます。この邪気の侵入する場所が風門(ふうもん)のツボだといわれています。風門はちょうど背中側の首の下にあります。寒いときや、風が強いときにぞくぞくっとする位置と一致していませんか?風邪が侵入しないように、風門辺りをマフラーなどでカバーするのも予防のひとつです。
古来、風邪は風門のツボから入り、風池(ふうち)、風府(ふうふ)のツボを通って、脳戸(のうこ)というツボにたどり着いて、鼻が出たりノドが痛くなったりという症状を引き起こすと考えられていました。ということで、今でもこれらの風邪に効くツボを、風邪予防や風邪の初期にマッサージしています。なお風邪をひくと、首、肩、背中の筋肉が緊張し、血行が悪くなるので肩こりにもなってしまいます。ちなみに中国語で「風邪」は「感冒」です。
あなたの風邪は寒い風邪?熱い風邪?
まずはチェックしてみましょう。
風寒タイプ
風寒タイプの風邪はとにかく温めてあげることが重要です。温かくして、ゆっくり休むことは必須ですが、そのほかに体を温める作用のある精油を使って寒さを吹き飛ばしましょう。からだを温める食材を積極的に摂りましょう。
風寒タイプのレシピ1、芳香浴 ティッシュに1から2滴たらしてデスクやマスクの中に忍ばせましょう。
・ティートリー(帰経:肺、性質:温)・ユーカリ(帰経:肺、性質:温)
2、マッサージオイル&ツボ 10mlのキャリアオイルに合計4滴の精油をブレンドしましょう。
ホホバオイル10ml
ティートリー2滴
ユーカリ2滴
ツボ
3、アロマバス 熱いお風呂に浸かって、汗を出しましょう。汗と一緒に風邪(ふうじゃ)が体外にでていきます。 上記のオイルの他、ジンジャーやオレンジ、マンダリンやシナモンなど、体を温め、発汗作用のあるオイルを合計5滴湯船に垂らしましょう。
4、薬膳 生姜(辛・温・脾肺):発汗・利尿作用により、冷えやむくみにも効果的。かにや魚介類の解毒にも使われる。
レシピ:生姜紅茶...生姜と紅茶はともに温性の食材。さらに、温性の黒糖で甘みを加えると、精神的にも落ち着き、からだを温め、冷えを取り除きます。
ねぎ(辛・温・脾肺):気血津液の巡りを良くする。寒気を伴う風邪に。解毒作用が下痢にも効果的。
鶏肉(甘・温・脾)・・鶏肉は肉類の中でも胃腸に負担がかからないので、体力が落ちているときや、虚弱体質の人にも最適食材です。
オススメレシピ:サンゲタンスープ...鳥手羽先5本、なつめ1個、生姜1個、にんにく2かけ、ねぎ2本、できれば高麗人参5枚をコトコト弱火で煮込む。塩こしょうで味付けし、万能ねぎを添えていただきます。
5、漢方薬 葛根湯(かっこんとう)...汗をかいていないときに。肩こり、頭痛薬としても使われる。桂枝湯に葛根(カッコン)と麻黄(マオウ)を加えたもの。
桂枝湯(けいしとう)...桂皮(ケイヒ)・芍薬(シャクヤク)・生姜(ショウキョウ) 大棗(タイソウ) 甘草(カンゾウ) 体力がない人は葛根湯よりこちらを選ぶ。
風熱タイプ
風熱タイプの風邪は熱を冷ましてあげることが大切です。温めすぎると、逆に症状が悪化することもあります。ただ、熱が高いときや体力がないときはマッサージは避けましょう。清熱作用のある生薬や精油を使って、熱を冷ましましょう。また、乾燥しやすいので、湿度を保つとより効果的です。
風熱タイプのレシピ1、芳香浴・サイプレス(帰経:肺・腎 性質:涼)
・フランキンセンス(帰経:肝・心・脾・肺 性質:涼)
・ペパーミント(帰経:肝・脾 性質:微寒)
芳香浴ならティッシュに1から2滴たらしてデスクやマスクの中に忍ばせましょう。
2、マッサージオイル&ツボ 10mlのキャリアオイルに合計4滴の精油をブレンドしましょう。
ホホバオイル10ml
サイプレス1滴
ペパーミント1滴
フランキンセンス2滴
ツボ
やさしくさするようにマッサージ。
3、吸入のぬり薬として★上記の倍量の濃度でブレンドして、のどから胸の辺りにぬるだけでもOK!
4、薬膳 大根(甘、辛・涼・脾、肺):黄色い痰やのどの不調、胃もたれ、風邪の初期症状、口内炎に。
みょうが(苦、甘・寒・肺、腎):体の余分な熱をとり、血行をよくする。解毒作用がある。
おすすめレシピ:大根のすり流し汁...大根をすりおろし、ごぼうと一緒に煮る。だし汁を加えて、最後に刻んだみょうがをトッピング。片栗粉を入れてとろみを出してもいい。
大根シロップ...肺を潤すはちみつで2センチ角に切った大根を保存瓶しきつめ浸す。1日経ったら、大根を取り出しハチミツをお湯に溶かして飲む。
5、漢方薬 天津感冒片(てんしんかんぼうへん):レンギョウ・金銀花・羚羊角など清熱解毒作用のある10種類の生薬から構成。のどの痛みや口の渇き、咳、頭痛に効果あり。
有藤文香
薬剤師・国際中医師・中医アロマセラピスト
株式会社Xiang代表。星薬科大学卒業後、世界トップレベルの製薬会社に就職しMRとなる。予防医学の重要性を再確認し、英国サリー州に留学、アロマ代替医療を学ぶ。帰国後、漢方医学と西洋の代替医療であるアロマセラピーを合わせた「中医学で見立てて、アロマでトリートメントする」という「中医アロマセラピー」という新境地を開く。中医アロマブランドXiang(シャン)を立ち上げ、中医アロマ・漢方・スクールの総合サロンを渋谷区代々木上原にオープン。著書に「はじめての中医アロマセラピー」「中医アロマセラピー家庭の医学書」
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