継続的な運動が健康に与える効果の本質と、地域社会が健康づくりを推進するために必要なことは -- ILSI が都内でシンポジウム開催 japan.internet.com 2011年12月16日(金)10時31分配信
近年、"働き盛り"と言われる世代において体力の低下や肩こり、腰痛などの健康不安、そして肥満やメタボリックシンドローム予備軍と呼ばれる人々が増加し、体を動かし健康的な生活を送ることの大切さが改めて問われている。"運動不足"は日本だけにとどまらず、世界的な社会問題だ。私たちの多くは運動不足を自覚し、また日常的に運動などによって体を動かすことの重要性は誰もが認識するところではあるが、実際に運動することがどのように健康な体の維持に影響を与えるのかはあまり理解していない。
特定非営利活動法人 国際生命科学研究機構(ILSI Japan)とアメリカ ILSI North America は12月13日、都内で医療従事者、健康運動指導士などを対象とした『働き盛り世代の健康とエクササイズ~欧米の先進事例から学ぶ』(後援:財団法人健康・体力づくり事業財団、健康日本21推進フォーラム、日本コカ・コーラ株式会社)というシンポジウムを開催し、日米の大学教授や研究者など4名が運動の習慣と健康の関連性に関する日米の最新研究事例、生活の中で実践できる効果的なエクササイズ方法、いかに日常生活の中で習慣的に体を動かすシーンを増やしていくか、などについての提言などを紹介した。
● キーワードは『Exercise is Medicine(エクササイズは薬である)』
シンポジウムの中心的なテーマとなったのは、日常生活の中で習慣的な運動をすることによって人体の健康を保ち、病気から身を守る『Exercise is Medicine(エクササイズは薬である)』という考え方だ。エクササイズは体型の維持、ウェイトコントロールなど様々な目的で行われるが、これは得られる効果の一側面であり、そもそも運動すること自体は人間が健康な体を維持するために必要不可欠なものなのだ。しかも、これは一過性のものではなく、人生を健康に生きる上で"なくてはならないもの"でもある。
早稲田大学スポーツ科学学術院教授の荒尾 孝氏は講演のなかで、日本人の3大死因の中でもメタボリックシンドロームとの関連が高いとされている「心疾患」「脳血管疾患」と運動量との相関性についての研究結果を紹介。生活の中での運動量を5段階に分類し、一番運動量が低い人の危険度を「1」とした場合とそのほか運動量の高い人の危険度は大幅に低くなるという結果になっており、中でも心筋梗塞などに代表される「虚血性心疾患」については一番運動量が低い人の危険度「1」に対して、その次に運動量が低い人でも「0.6」程度と、少量の運動でも健康維持に大きな効果があることが実証されている。
また、荒尾 孝氏は"働き盛り"の30代、40代の死亡原因のトップが心臓や血管の疾患ではなく「自殺」であり、その大きな原因のひとつが「抑うつ」であることを指摘。研究結果より、どんな種類の運動でも気分の良好な変化を与える効果がある点や、週135分以上の運動により「抑うつ」のリスクが半減するという結果を紹介しながら、習慣的に体を動かすことに抗うつ効果や症状の改善効果があることを紹介した。種類を問わず、継続的な運動は身体的にも、精神的にも良好を維持する効果が研究結果からも明らかになった。
● 健康づくりを地域社会全体で進めることで、様々な効果を生み出す
しかし、個人で運動を継続しようしてもなかなか続かなかったり、あるいは自分の体力や健康状態に必要な運動量は測ることができない。運動は足りなくては効果がなく、やりすぎてはオーバーワークになって逆効果になりかねない。アラバマ大学バーミンガム校 特別教授のデビット・アリソン氏はこの点について、「人間に必要なエネルギー量、そして必要な運動量は個人によって異なる」と指摘。また、食事によって摂取するエネルギー量と生活の中で消費されるエネルギー量、そして個人の体の状態に合わせた運動によって消費されるエネルギー量のバランスを良好にすることが重要だという見解を述べた。
また、アメリカ疾病予防管理センター ディレクターのマイケル・プラット氏は、日常生活における体を動かす生活の推進を地域社会と生活者が一体となって進める「コミュニティ・プログラム」の必要性と、専門の医療従事者が必要な運動量の診断と管理を行うカウンセリング(プライマリ・ケア)の必要性を提言している。
「コミュニティ・プログラム」は、生活者が気軽に体を動かす生活を実現できるインフラの整備(公演や道路の整備)や地域社会全体を巻き込むキャンペーンの展開など、健康づくりの推進を行政や地域社会が主導して進めることで、生活者が体を動かすことを通じて健康的な生活に移行することができるよう推進することだ。ここでも、どのような運動をするかは各個人の年齢や体力、体の状態に応じて最適化されたものである必要があり、また、本格的なスポーツでなくても、ウォーキングやサイクリングなど小さなことでも効果が期待できる。
なお、このような健康づくりを推進する社会的な取り組みはアメリカ、イギリス、オーストラリアなど海外では積極的に展開されている。例えば、移動手段に自転車を推奨して一般道を規制して自転車専用道路として開放するといった健康づくりを推進するキャンペーンを実施しており、多くの人が体を動かす生活を楽しむきっかけとなったほか、CO2排出量の削減といった経済効果も生まれたそうだ。
マイケル・プラット氏は、世界的に運動不足によって生じる医療費などの経済的負担は喫煙によって生じるリスクと同等になっていると指摘し、社会全体で運動不足を解消することは、健康的にも経済的にも有益であるとしている。個人の努力だけでなく、社会全体で健康づくりに対する意識を高め、ムーブメントを生み出すことが、健康的な生活だけでなく、環境や経済にも良い影響を与えると言えそうである。
● 習慣的なエクササイズを社会全体にムーブメントに
また、マイケル・プラット氏によると、欧米を中心に世界各国では医療従事者が継続的なカウンセリングによって個人に必要な運動量や運動の方法、その実績を管理、アドバイスするプログラム『Exercise is Medicine』が普及しており、国家レベルで長期的な健康社会の推進を行なっている。マイケル・プラット氏は地域社会の健康づくりの第一歩として、地域医療の中心である医療従事者がリーダーシップをとり、地域の生活者とのコミュニケーションを通じて体を動かす生活の推進を行うことの重要性を来場した参加者に提言した。
日本においては学校教育を除いては体力の維持や増進は個人の判断に任されている状態だが、荒尾 孝氏とマイケル・プラット氏が提言するように地域社会、医療現場、行政が習慣的に体を動かすライフスタイルの推進と環境の整備を戦略的に行う必要がある。そのような活動を通じて習慣的な運動をすることを生活にもっと身近な存在にし、多くの人が気軽に参加したくなるムーブメントを生み出すことが、病気から身を守る健康な体づくりや体力づくりに繋がると言えよう。
しかし、健康づくりにむけた取り組みは職場の仲間同士や友人・知人が集まれば簡単に始められる。ウィーキングやランニングなど道具などを必要にせず投資が不要で、手軽に始められる運動であれば、誰でも手軽に健康づくりができるだろう。最近では東京マラソンなど一般市民が参加できる大型スポーツイベントの人気拡大などと共に、ランニングなどを楽しむ"同好会"が数多く生まれるなどムーブメントは少しずつ拡大し始めている。
そして、これから寒さが厳しくなるシーズンの運動で気をつけなければならないのが、水分補給だ。暑い夏に比べて寒い冬は汗をかく量も少なく、体内の水分の減少は少ないように見えるが、研究によると実は運動時の脱水量は夏も冬も変わらないという。また、寒さに対して体温を維持しようとする基礎代謝により体から失われる水分の量は増えるほか、汗腺の動きが不十分な冬の汗からは夏に比べて多くの電解質が失われ、脱水状態に陥るリスクが高まる。運動する場合にはミネラルウォーターではなく、電解質を補う働きをするスポーツドリンクなどで十分な水分補給をすることをおすすめしたい。
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